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50代の8割はひっかかる? 健康診断結果の読み解き方 年に1度受ける健康診断。その結果は、自分の体を知る大事な“成績表”だ。とはいえ、数値を見ても、何をどう変えればいいのか意外にピンとこないのもまた事実だ。健康診断結果の数値に込められた「体のサイン」を読み解こう。
■50代の8割はどこか引っかかる? 普段の食事が如実に表れる
健康診断結果で、年齢とともに「要経過観察」や「再検査」といった判定が出やすいのが血圧、脂質、糖代謝、尿酸値といった生活習慣病関連の項目だ。「最も異常値が出やすいのは血圧」と、三井記念病院総合健診センター所長の山門實さんは言う。なんと50代の7割近くが血圧の異常値を示し、全体の8割がなにかしらの異常を示すという。「血圧、血糖値、脂質の異常は、いずれも食べ過ぎや野菜不足といった食習慣が原因で、1つが異常値の人は、ほかの項目も危ない場合が多い。いずれも動脈硬化、ひいては心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高めます」(山門さん)。
また、「検査結果のなかでも特に注意したいのが血糖値」とAGE牧田クリニック院長の牧田善二さんは指摘する。「コレステロール値を高い状態で放っておくと心筋梗塞になる危険性が約10%上がるといわれますが、糖尿病の場合は治療しないでおけば、ほぼ確実に失明したり、透析が必要になったりする」(牧田さん)。
健康診断の数値は、「経年的に見て、数値の上昇があれば、基準値内でも注意するべき」(山門さん)。例えば糖尿病の場合、境界型の状態が12年ほど続くと、ある日突然、血糖値が跳ね上がり、糖尿病になることが統計的に分かってきた。つまりサインは何年も前から出ているということだ。
~健康診断結果はここをチェック~
【肝機能】 酒豪は要注意、物言わぬ臓器の異変を知る
ここをチェック γ-GTP、GPT(ALT)、GOT(AST)
γ‐GTPとはたんぱく質分解酵素の一種。肝臓や胆管の細胞が壊れると血中に出るため、肝機能の指標の一つとなる。アルコール摂取量に敏感に反応するため、多少上がっても酒豪自慢のように語られがちだが、基準値を超えたら経過を押さえておこう。「高値が続く場合はアルコール性肝炎のリスクが高まり、肝炎の段階で禁酒しないと肝硬変へと進みます」(山門さん)。また、GPTやGOTの数値に異常がなく、γ-GTP値だけが高い場合は脂肪肝であることが多く、禁酒より減量が必要だ。
【脂質】 悪玉と善玉とのバランスが大切、女性は閉経後に急増 ←特に注意!
ここをチェック 総コレステロール HDLコレステロール LDLコレステロール 中性脂肪
かつては総コレステロール値が重要だと考えられていたが、現在はHDLコレステロール(善玉)とLDLコレステロール(悪玉)とのバランスが重視されるようになった。LDLは全身にコレステロールを運び、HDLは余分なコレステロールを回収する役割を担うため、どちらかが多過ぎたり少な過ぎたりすると、血管にプラークと呼ばれるこぶができて、動脈硬化の原因に。女性の場合は、閉経後にエストロゲンが減少するとLDLコレステロールが急激に増えるので、50代以上は注意が必要だ。
【腹囲】 メタボ判定の入り口
腹囲を測ることで内臓脂肪の蓄積をチェックする。男性は85cm以上、女性は90cm以上で、なおかつ血圧、血糖値、脂質のうち2項目が基準値を超えるとメタボリック・シンドロームと診断され、1項目が該当すると“予備軍”とされる。
【尿酸値】 痛風だけでなく、腎障害や動脈硬化の原因にも
尿酸とは体内でプリン体が分解されるときに生じる老廃物。通常は腎臓でろ過され体外に排出されるが、過剰に作られたり、排出力が低下したりすると血中の尿酸値が上昇する。痛風だけでなく動脈硬化の原因となり、脳卒中や心筋梗塞を引き起こす。
【貧血】 鉄不足で起きる鉄欠乏性貧血は女性に多い
貧血の診断で重視されるのがヘモグロビン値。貧血にはさまざまな種類があるが、鉄不足によって起きる鉄欠乏性貧血が最も多い。ヘモグロビン値、赤血球数、ヘマトクリット値の3項目から算出する赤血球恒数で、貧血の種類や原因を診断できる。
【血圧】 最も多いのが「高血圧」、長く続くと心臓病のリスク高 ←特に注意!
心筋梗塞や脳梗塞、腎不全など、怖い病気の引き金となる高血圧。加齢、肥満、ストレス、運動不足などの要因が考えられる。また、家族に高血圧の傾向があると、体質を受け継ぎやすい。血圧が高いからといってすぐに異常が起こるわけではないが、高い状態のまま長い期間放置することで、合併症のリスクが高まる。血圧が高い人は、数値をにらみながら食事や運動などで改善するように心がけたい。男性に多い高血圧だが、女性は閉経後に血圧が上がるので50歳を過ぎたら注意。
【血糖値】 3人に1人は糖尿病?治らない難病のサインを見極めよ ←特に注意!
ここをチェック 血糖 HbA1c
成人男性に急増している糖尿病。合併症のリスクが最も高く、一度かかると治らないだけに、数値の上昇には注意を払いたい。特に家族に糖尿病の傾向がある人は気をつけよう。糖尿病かどうかを判断し、その進行度合いを見る上で重要視されるのがHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)。血液中のヘモグロビンにどの程度の糖が付いているかを測るもので、過去1~2カ月の血糖値の平均的推移が分かる。高血糖が気になる人は、まず炭水化物を減らして減量することが大切だ。
国内に約200万人の感染者がいるとみられるC型肝炎。慢性化すると肝硬変や肝臓がんに進むこともある恐ろしい病気だ。2011年11月に新しい薬が発売され、従来の薬では効きにくかった患者でも治療効果が期待できるようになった。治療期間が短縮できるなどの利点もあるが、副作用に注意する必要があると専門家は指摘している。
肝臓がん原因8割
この病気は「C型肝炎ウイルス」が感染して発症する。感染すると約7割で体内でウイルスが生息し続け、このうちの6~8割が慢性肝炎に進む。さらに10~30年かけて肝硬変や肝臓がんへと病気が進行することも少なくない。毎年約3万人が亡くなる肝臓がんの約8割がC型肝炎が原因とされている。
ウイルスは血液を介して感染する。感染者の多くはウイルスが発見される以前の輸血や血液製剤、注射針の使い回しなどが原因とみられる。今では新たな感染はほとんどないが、ピアスの穴開けなどでうつる危険性も指摘されている。
C型肝炎が恐ろしいのは自覚症状がほとんどないこと。気づかないまま何年も過ごし、治療が難しくなる例も多い。現在の治療は「ペグインターフェロン」という注射薬と飲み薬の「リバビリン」の2剤を併用するのが一般的。ただこの治療がよく効くのは、ウイルスが「2型」というタイプで、体内のウイルス量も少ない患者。日本人に多い「1型」のウイルスで体内の量も多いケースは効果が得られにくく、ウイルスを排除できるのは患者の約半数にとどまっている。
新薬と従来薬の3剤で治療
田辺三菱製薬が11月に発売した「テラプレビル」(商品名テラビック)は、こうした治りにくい患者にも高い効果が見込める。従来の2剤と一緒に用いる薬で、ウイルスが自分のコピーを作って増殖するのを妨げる働きがある。
国内で実施した臨床試験(治験)で、1型でウイルス量も多い患者が初めて治療を受ける際にこの3剤を併用したところ、73%でウイルスを排除できた。従来の治療でいったんウイルスが検出されなくなったものの再び増えてしまった患者では、88%で効果が認められた。今まで薬が効かなかった患者では有効例は34%だった。
治療期間の短縮も利点だ。従来は1~1年半、投薬する必要があったが、半年にできる。新薬を使うのは最初の3カ月間だけで、あとは2剤でよいという。
注意点もある。副作用の強さだ。もともと従来の2剤併用療法でも副作用の懸念はあった。東京大学医科学研究所付属病院の加藤直也特任准教授は、「これまでも副作用が原因で治療が続けられないケースがあった。新薬が加わると、その割合が高まるだろう」と指摘する。
代表的な副作用は貧血だ。新たな治療法では、血液中のヘモグロビンが減って貧血が深刻化することがある。このため治療中に貧血が重症化した場合は、リバビリンの量を減らすなどの対応をとる。「新薬を中途半端な量で使うと、逆に薬に耐性を持つウイルスが生じる恐れがある」(加藤特任准教授)ためだ。
治療の手控え禁物
皮膚に発疹が現れることもある。臨床試験の結果をみると、患者に中程度の発疹が出る確率は34%、やや重い発疹は11%。いずれも従来の治療法を上回った。出始めるのも早く、治療開始から1カ月以内に発疹が現れる確率は約8割に達する。
高コレステロール血症などの持病がある人も注意が必要だ。服用している治療薬の種類によっては、新薬と併用するとどちらかの薬の血中濃度が上がりすぎ、副作用が強くなる恐れがある。睡眠導入剤の一部なども飲み合わせがよくないという。
北里大学北里研究所病院の常松令肝臓病センター長は「C型肝炎の治療を始める前に、服用中の薬を医師に伝え、指導を受けてほしい」と訴える。持病の薬でも、飲み合わせが悪くない別の薬に切り替えれば、肝炎治療に悪影響を与えずにすむケースも少なくない。
ただし、副作用を心配し過ぎて治療に取り組まないのは本末転倒だ。東大の加藤特任准教授は「実際に副作用がどの程度になるかは治療してみないと分からない」と話す。慢性肝炎になってからの期間が長い高齢者はがんになるリスクも高いので、治療が不可欠だ。
現在、新しい治療が受けられるのは肝臓の専門医がいる医療機関に限られている。皮膚科医などとも連携していれば安心度も高まる。「医師と相談して治療内容をよく理解し、二人三脚で治療に取り組んでほしい」と専門家は口をそろえる。
http://www.henshikou.com/blog/blog_20190402_58
「こんなにお金がかかるのなら、がん保険に入っておけばよかった」――。がんのサバイバー(体験者)の中には、こうした思いから将来の再発や転移に備えて保険に入りたいと考える人も少なくないようです。しかし、医療保険やがん保険の多くは、1度がんにかかると加入することができず、入れるものは限られます。本連載の第3回(最終回)では、さまざまながん保険がある中で、サバイバーが入れるがん保険にはどのような特徴があるのか、調べてみました。
現在、発売されているがん保険の多くは、過去にがんにかかったことのある人や、現在入院中または入院・手術を勧められている人などは加入できないことになっている。しかし、がん治療を経験し、その経済的負担の大きさを実感したからこそ、がん保険の重要性を認識しているサバイバーも少なくないはずだ。
そんなサバイバー向けのがん保険を出しているのは、今のところ2社のみだ。
以前にかかったがんの種類を問わず入れるのが、アフラック(アメリカンファミリー生命保険会社)の「優しいがん保険」だ。加入できるのは、がんの治療が終わった日から10年以上経過した、満50歳から80歳までの人。ここでいう「がんの治療」とは、手術、放射線治療、薬物療法であり、治療終了後の経過観察のために受けている検査は含まれない。つまり、手術だけで治療が終わった人は、手術日から10年経過すれば加入できるわけだ。加入に際して、医師の診査は必要ない。
保障内容は、がんで入院した場合の入院給付金として1日1万円、20日以上入院した場合には退院時に在宅療養給付金が支払われ、さらに死亡保険金も付いている(表1)。がんにかかったことのない人のためのがん保険のように、がんと診断確定したら100万円といった診断給付金はないが、入院給付金の日数および在宅療養給付金の回数は無制限なので、がんで入退院を繰り返すときには安心かもしれない。
月額保険料は、男女共に50歳4016円、60歳5392円、70歳7264円。保険期間は終身で、加入すれば保険料は一生上がらないタイプの保険だ。
■乳がん限定で術後療法中でも入れるがん保険
もう1つは、乳がんのサバイバーのみを対象にしたがん保険だ。セコム損害保険の自由診療保険「MEDCOM One(メディコムワン)」で、手術後にがんの所見がなく一定の経過期間を経れば、ホルモン療法など術後療法中の人でも加入できる。経過期間は、治療した乳がんの病期によって異なり、ステージ0の人なら手術日から6カ月超、ステージIなら1年超、ステージIIで3年超、ステージIII、IVは6年超となっている。対象年齢は20歳~65歳だ。
保障内容は、診断給付金はないものの、それ以外はがんになっていない人のためのがん保険「MEDCOM(メディコム)」と同じ(詳細は第2回の「保障内容は欲張らず、保険料と診断給付金に注目」を参照)。保険診療、自由診療も含め、入院治療したときには治療費と診断書料を無制限に、通院治療も5年ごとに1000万円まで、全額保障される(表2)。
がんの摘出と同時に行われる乳房再建(一期的再建)手術も、自由診療を含め保障の対象だ。また、乳がんの再発・転移だけでなく、他のがんにかかった場合も保障される。
ただ、保険料は、がんになったことのない人の保険に比べると高額。月額保険料は加入年齢、乳がんのステージ、手術日からの経過期間によって異なり、ステージが低く経過期間が長いほど保険料は下がる。40歳を例に見てみよう(表3)。
この保険の保険期間は5年で、90歳まで自動更新できる。一般的には更新型の医療保険は年齢と共に保険料が上がるが、この保険の場合、年齢は上がるものの手術日からの経過年数が長くなるため、例えば、ステージIの人が、40歳のときに手術日から1年6カ月で加入した場合、保険料は9890円だが、更新時の45歳には6年6カ月経過したことになり保険料は月額7030円と、逆に下がるのが特徴だ。その間に万が一再発したとしても更新することができ、保険料は下がる。ただし手術後9年以降は年齢と共に保険料が上がる仕組みだ。
セコム損害保険は2004年より、乳がんについての正しい知識の普及とマンモグラフィー検査の普及を目指す「ピンクリボン運動」を支援している。「各種イベント参加者から、乳がんを経験された方の保険の選択肢が少ないと聞きました。乳がんを経験された方の役に立てればと思い、『MEDCOM One』を開発しました」。セコム損害保険営業企画推進部担当部長の大野文吾氏は、乳がんサバイバーに特化した保険を作った理由をこう話す。
「乳がんは、ほかのがんに比べると発症年齢が若く、30歳代から50歳代という働き盛りの時期に罹患(りかん)率のピークを迎えます。だからこそ、経済的な問題を気にせずに最善の治療を受けて、治って現場復帰してもらいたいのです」。
■がん保険以外にもサバイバーが入れる医療保険が登場
がん保険だけでなく、医療保険の中にも、持病がある人やがんのサバイバーなど、健康上の理由から加入できなかった人向けの「引受基準緩和型」の商品も増えている。ただ、がんのサバイバーの場合、「入院治療や手術、診察、検査から5年以上経っていること」など、治療後にある程度の期間を経ることが加入条件になっている。例えば、経過観察の検査が終わってから5年経たないと加入できない保険の場合は、経過観察期間が5年であれば、がんの手術を受けてから10年間は入れないことになる。
各保険の加入条件は、保険会社によって異なる。例えば、オリックス生命保険の医療保険「CURE Support(キュア・サポート)」は、以下の条件をすべて満たす必要がある。
・最近3カ月以内に入院、手術、検査を勧められたことがない
・過去2年以内に脳卒中、心筋梗塞、狭心症、不整脈、膠原(こうげん)病、潰瘍性大腸炎、クローン病などで入院したことがない
・過去2年以内に糖尿病で入院したり、糖尿病の合併症で診察・検査・治療・投薬を受けたりしたことがない
・過去5年以内にがん、心筋症、心肥大、先天性心臓病、弁膜症、動脈瘤(りゅう)、慢性肝炎、統合失調症、うつ病、アルコール依存症などで入院、医師の診察、治療、投薬を受けたことがない
引受基準緩和型の保障内容は一般的な医療保険と同じで、入院給付金や手術給付金を受け取ることができる。先進医療を利用した場合に、その技術料が全額保障される先進医療特約なども付けられる。ただ、一般的な医療保険は保険料支払日以降は満額の保障が受けられるのに対し、引受基準緩和型では契約日から1年以内は、給付金額が半額に削減される点には注意したい。
引受基準緩和型の保険は、一般の医療保険に比べると保険料が高い(オリックス生命保険の場合、1.1~1.6倍程度)。それでも、「持病があって入れる保険がない」「これまで医療保険には入っていなかったが、がんになって将来が不安になった」というような人は、「引受基準緩和型医療保険」をキーワードに、複数の保険会社から商品を探し、その保険料と保障内容を比べてみるとよいだろう。
■がん保険、医療保険をフル活用するには
最後に、既にがん保険に入っている人ががんになったときの保険活用法をまとめてみよう。
「まずは、治療法を決定する前に、加入しているがん保険がどういう設定になっているか確認してください。治療法に複数の選択肢がある場合には、がん保険からお金が出るかどうかも治療法を選ぶ場合の判断材料の一つになるかもしれません」。1級ファイナンシャル・プランニング技能士で家計アイデア工房社長の柳澤美由紀氏はこう話す。
例えば、自由診療までカバーするがん保険に入っている場合には、そのことを治療法が決定する前に担当医に伝え、より広い治療の選択肢を提示してもらおう。
また、医療保険や生命保険の医療特約、3大疾病保険に入っている人は、そちらの請求も忘れないようにしたいものだ。中には、生命保険にがん特約や3大疾病特約をつけている人もいる。生命保険のリビングニーズ特約に加入していれば、万が一、末期がんで余命6カ月以内と診断された場合に死亡保険金の全額または一部を受け取れる。
かなり前にかけた保険だと、どんな保障内容だったのか、特約を付けているかなど忘れている場合も少なくない。保険会社や代理店の担当者に、病名と治療内容を伝え、保険の給付対象になる事項はないか、確認してもらうとよい。
「がん」と告知されれば気が動転するのは当然。だが、せっかく「もしも」のためにかけてきた保険である。請求漏れがないように、保険金が出るものはすべて利用するようにしたい。
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同時接種後の死亡例が続き一時的に見合わせていた、髄膜炎などを防ぐ2種類の乳幼児向けワクチン接種が4月1日から再開した。専門家が「直接的な因果関係は認められない」と判断した結果だが、「本当に安全なのか」と不安を抱える母親もいる。国などの補助で接種できるようになったばかりだけに、専門家は「ワクチンを正しく理解して」と呼びかけている。
接種が再開したのはヒブ(ヘモフィルスインフルエンザ菌b型)と、肺炎球菌の感染を予防する2種類の乳幼児向けワクチンだ。乳幼児の細菌性髄膜炎の6割はヒブ、3割は肺炎球菌が原因で、死亡率は約5%、3割は聴覚障害など重い後遺症を残すこともある。
費用補助で増える
東京都武蔵野市の30代の母親は生後8カ月の娘の「2回目以降の接種をどうしようか」と悩んでいる。1月中旬に同市が公費補助の対象としたため2月下旬にヒブと肺炎球菌のワクチンをかかりつけ医で同時接種した。副作用もなく、1カ月後に2回目を受けるつもりでいたが、その前に接種が見合わせになってしまった。4月から再開したものの、「大丈夫だろうか」と不安を抱えているという。
厚生労働省が3月4日に一時的に接種見合わせを決めたのは、両ワクチンを接種した乳幼児の死亡例が相次ぎ報告されたからだ。
例えば2月28日に両ワクチンを接種した兵庫県宝塚市の2歳男児は翌日にうつぶせ状態で死亡。3月1日には肺炎球菌用と他の混合ワクチンを同時接種した同県西宮市の1歳女児も接種後に高熱を出し、翌日昼寝中に亡くなるなど、死亡との関連を疑われた乳幼児は7人に上った。
ヒブ用は2008年12月から、肺炎球菌用も昨年2月から国内で販売しており、問題となる副作用は確認されていなかった。そのため疑われたのが両ワクチンや他のワクチンとの「同時接種」の影響だった。
厚労省が予防接種を積極的に実施している医療機関に緊急調査したところ、回答のあった866医療機関でヒブ用は88.0%、肺炎球菌用は75.4%が他のワクチンと同時接種だったという。このうち最も多いのは両ワクチンの同時接種で、半数強を占めた。
なぜ同時接種が増えたのか。契機は昨年11月に国が「ワクチンの有効性は高い」として費用の半分補助を決めたこと。大半の自治体が追随し、費用負担が軽くなり、接種希望者が急増した。乳幼児の接種ワクチンが増えるなか、通院回数を減らすとの狙いもあった。
さらに両ワクチンは初回は生後2~7カ月の間に接種を始め、約1カ月の間隔で2~3回接種するなど、時期や間隔がほぼ同じで同時接種の割合が多くなったとみられる。製薬会社によると、両ワクチンの出荷量は月20万本程度だったが、国が補助を決めてからは倍のペースだ。
不安あれば単独で
「同時接種で副作用のリスクは高まるのか」。厚労省が3月8日に緊急に開催した専門家検討会では「結論を出すにはデータが足りない」とした。このため同省は死亡例の詳細なデータや海外で同時接種した際のデータなどを収集し、約2週間後の検討会では同時接種で亡くなった7例は「ワクチン接種と直接的な明確な因果関係は認められない」と結論づけた。
例えば宝塚市の2歳男児は解剖の結果から、誤って肺に異物をのみ込んだ結果の呼吸不全と推定。西宮市の1歳女児もウイルスを検出、急性感染症による死亡の可能性があるとした。
死亡報告も海外ではヒブ用は10万接種で0.02~1人程度、肺炎球菌用で10万接種で0.1~1人程度だった。国内では10万接種で0.1~0.2人程度だったため、検討会は「諸外国と大きな違いは見られず、安全性に問題があるとは考えにくい」とした。
ただ、死亡例には重い心臓病など基礎疾患があった乳幼児もいたため、検討会は「重い基礎疾患がある乳幼児は感染症予防にワクチン接種が望まれるが、単独接種も考慮しつつ、医師の判断で慎重に接種する」ことを求めた。
月40万本程度の出荷がある中、「10万接種で0.1~0.2人程度」という確率は低くないようにも見える。だが、検討会の委員の一人は「多くの乳幼児が接種すれば、接種後に偶然亡くなるケースもある。だが因果関係が『全くない』と断定する根拠もなく、結論は『関係は不明』となってしまう」と安全性の説明の難しさを打ち明ける。
同省は今後、6カ月で死亡報告数が10万接種当たり0.5人を超えた場合などに対応を検討する方針。髄膜炎はヒブからが5歳未満の10万人当たり7.5~8.2人、肺炎球菌からが同2.6~2.9人。国立感染症研究所の岡部信彦感染症情報センター長は「両ワクチンはメリットの方が高い。同時接種でも問題ないが、不安な人は通院回数は増えるが、単独でも接種を勧める」と話している。
混合ワクチン開発遅れ 「国の調整」カギ
国内で異なるワクチンの同時接種が増える背景には、複数のワクチン成分を混ぜて1回で接種する「混合ワクチン」の開発が遅れているからだ。厚労省のワクチン産業ビジョン推進委員会は「混合ワクチン」の開発を早期に進めるべきだとの見解を3月上旬にまとめている。
国内で混合ワクチンはジフテリア、百日ぜき、破傷風を防ぐDPTワクチンなどがある。欧米ではDPTに不活化ポリオとヒブを加えた5種混合、さらにB型肝炎を加えた6種混合もすでに導入されているが、国内では開発に着手さえしていない。
注射が1回になるので痛みなどの負担が軽減するうえ、接種忘れの防止も期待されている。ワクチンの重要性を訴え続け、2月に急逝した国立病院機構三重病院の神谷斉名誉院長は「必要なワクチンの数が増えると、接種される子供も接種する医療機関も負担が大きい。混合ワクチンが絶対必要になる」と訴えていた。
だが、メーカーによってワクチンの製法や成分は異なるが、守秘義務を理由に公開されていないことが多く、複数のワクチンを単純に混ぜるだけでは混合ワクチンは開発できない。堀内善信・元国立感染症研究所室長は「メーカー任せでなく、国がどのような混合ワクチンを作るのか方針を示していく必要がある」と指摘している。
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ポリフェノールやカロテン、イソフラボン……。健康によいという、カタカナ名の色々な成分の情報があふれている。野菜や果実などに含まれ、まとめて「ファイトケミカル」(植物が作る化学物質)と呼ぶ。老化やがんに対する予防効果などが分かり始めてきたが、妄信せずバランスよく摂取することが大切だ。
「キャベツは免疫力を高める成分を含んでいます。バナナの香り成分にも同じ効果がありますよ」
東京都肝臓専門医療機関の指定を受けている麻布医院(東京・港)の高橋弘院長は、がんや肝炎と診断された患者から「これから何を食べたらいいのか」とよく相談を受ける。迷わず薦める食材が野菜や果物だ。
ただその説明には念が入っている。手製の解説パネルを示しながら、科学的に効果の確認されている成分やどのような効果を期待できるのか、スープなどのとりやすい方法も丁寧に話す。「多くの人が赤ワインに入っているポリフェノールは知っているが、ファイトケミカルは知らないので」と、高橋院長。
1500種類の成分判明
ファイトケミカルは、ギリシャ語で植物を表す「ファイト(phyto)」と、英語の化学を組み合わせた造語だ。食事とがんとの関係を科学的に調べようと1990年に始まった米国立がん研究所の「デザイナーフーズ・プログラム」や、80年代に日本で提唱された「機能性食品」の研究が進展し、この10年ほどで予防医学や食品分野で広がってきた。
これまでに判明している成分は約1500種類。代表はポリフェノールだ。ブドウやブルーベリーに含まれるアントシアニン、大豆にあるイソフラボン、お茶の中にあるカテキンなどはこの仲間だ。このほかカロテノイド、イオウ化合物、糖関連物質などがあり、未知の成分は1万種以上あるといわれる。
確認されている生理作用は3つある。よく知られているのが、細胞の老化などに深くかかわっている反応性の高い酸素の働きを抑える「抗酸化作用」だ。ポリフェノールはこの抗酸化作用が強い。トマトやスイカに含まれるカロテノイドの仲間、リコピンにも強力な抗酸化作用がある。
2つ目は、免疫細胞を増やしたり働きを高めたりする作用だ。キャベツやタマネギ、にんにくなどに含まれるイオウ化合物にこの作用がある。バナナの香り成分「オイゲノール」が同じ効果をもつ。3つ目は、がんの発生や増殖を抑制する作用で、温州みかんに多く含まれているカロテノイドの仲間、ベータ・クリプトキサンチンはこの優等生といわれる。
動物は自ら作れず
ファイトケミカルはもともと、植物が毒物や害虫から身を守るために作り出した化学成分で、動物は作れない。たくさん食べないと病気を引き起こす必須の栄養素ではないが、積極的にとれば健康の維持にとても役立つ。このため、たんぱく質やビタミン、食物繊維などに続く「第7の栄養素」ともいわれる。
しかしまだ、分かっていないことが多い。
国立健康・栄養研究所の饗場直美・栄養教育プログラムリーダーらは、ピーマンに含まれる「ルテオリン」の免疫を高める作用に注目し、高齢者に毎日120グラム食べてもらう実験をした。経過を分析すると、確かに摂取した人の免疫機能は高まったが、同時にアレルギーを引き起こしやすい状況に変化していることも分かった。ピーマンだけでなく、同じ効果のあるリンゴを加えるなど献立を工夫すると、アレルギー傾向になる状況を抑制できたという。
ファイトケミカルの効果を期待して同じ成分を摂取し続けると、予期しない反応が起こりうる。饗場リーダーは「弱い薬と認識して摂取する心構えが必要だろう」と忠告する。特定の成分を錠剤にしたファイトケミカルのサプリメントも商品化されているが、それだけをとり続けることも避けた方がよいようだ。
野菜や果物にどの成分がどれほど含まれているのか。どの食材をどれだけ食べれば健康維持に役立つのか。食品総合研究所の日野明寛・食品機能研究領域長は「米国ではデータベースの整備や大規模な住民調査が進められている。日本では明確なデータがまだそろっていない」と指摘する。
果樹研究所は2003年から、浜松市で約1000人を対象にミカンの摂取と生活習慣病との関連を調べている。こうした地道な取り組みが科学的な証拠になる。主要な成分を対象にデータを積み重ね、摂取の指針ができることを関係者は願っている。http://www.henshikou.com/blog/blog_20190402_62