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何かを食べて具合が悪くなったとき、ある植物を口にしたら回復した――私たち人類は、はるか昔に、こうした経験を繰り返してハーブの知識を身に付けていったのだろう。たとえば、犬や猫などの動物が葉や草を食べて腹の不調を治すような行動を観察して、それを学んでいったのかもしれない。
病気の予防や症状の緩和に役立つハーブ、すなわち「メディカルハーブ」の研究は、文明の黎明(れいめい)期には多くの地域で始まっていたと考えられている。古代インドの聖典である『リグ・ヴェーダ』の中にも、数百種の薬草とその使用法がまとめられている。この分野に関する最古の書物の一つとして知られ、その編さん時期は紀元前10世紀よりも前と考えられている。
数多くのハーブが伝統的な自然療法や民間療法で用いられ、その知識が受け継がれてきたが、現代の医学的な研究によって、その効果が実証されつつあるものもある。
ミルクシスルはその一例だ。民間療法では2000年以上も前から肝臓を守るためにミルクシスルが利用されてきたが、1960年代にドイツで行われた研究で、肝臓疾患の治療に効果があることが再認識された。
ミルクシスルの種子には、シリマリンというフラボノイド複合体が含まれており、このエキス剤が肝障害の回復や疾患の予防の両方に有用であることが、40年にわたる研究で立証されている。肝硬変、肝炎、胆石、脂肪肝などの疾患や、さらに中毒の治療にも有用である(今でもミルクシスルは、タマゴテングタケやシロタマゴテングタケを含む、テングタケ属のキノコの毒に対する解毒剤として利用されている)。
ある臨床研究では、トルエンとキシレンの有毒ガスに5~20年間暴露された作業員にシリマリン80%を投与したところ、プラセボ(偽薬)を服用した対照群と比較して、投与した全員に著しい肝機能向上と血小板数の増加が認められた。またシリマリンは、統合失調症や双極性障害の治療のために数種類の「向精神薬」を服用している患者に見られる薬物性の肝障害を軽減することもわかっている。
2010年には、化学療法で治療中の子どもの肝疾患患者50人にミルクシスルとプラセボを用いた二重盲検試験を実施したところ、薬でダメージを受けた肝臓がミルクシスルで改善したとする報告が、医学誌『Cancer』に掲載された。シリマリンは原発性胆汁性肝硬変の治療にも利用でき、また強迫神経症の治療で選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などの抗うつ剤としても有用な可能性がある。
とげがあるが、ミルクシスルは食べることもできる。根は生か、ゆでてバターとからめる、あるいは半ゆでにしてあぶり焼きにする。春には、柔らかい新芽が出るので、根元から切ってその「毛羽」を揉み落としてからゆでてバターをからめるといい。茎は皮をむくか、一晩漬け置いて苦みを取ってから煮込むようにする。葉はチクチクするところを切ってゆでれば、ほうれん草の代用品にもなる。
ちなみに、古代ケルト人のミルクシスルの花言葉は「性格の高潔さ」である。作家のテッド・ヒューズやヒュー・マクダーミッド、レフ・トルストイやA.A.ミルンの作品にもミルクシスルが登場する。『くまのプーさん』ではロバのイーヨーの好物だ。
【ミルクシスルのレシピ:二日酔い用スムージー】
ミルクシスルの人気が高まった理由の一つに、飲酒する前の晩に飲んでおけば、二日酔いの症状を防げると期待されたことがあった。これは、かなり信頼性がある。というのも、ミルクシスルは、アルコールなどの毒から肝臓を守る働きがあるし、重要なろ過組織の新しい細胞の生成も促進するからだ。繁華街で夜を過ごす前は、ミルクシスルを1タブレット飲み、家に帰ってもう一つ飲むようにしよう。さらに「二日酔い用スムージー」を作り、飲酒した日の翌朝に飲むのもいいだろう。オーツ麦、バナナ、ドライタイプのミルクシスルの種子、バニラパウダー、アーモンドミルクなどをミキサーで混ぜ合わせて作ろう。
【材料】オーツ麦……1/2カップ、バナナ……1本、ドライタイプのミルクシスルの種子……小さじ1杯、バニラパウダー……小さじ1/2、アーモンドミルク(あるいは乳成分を含まない牛乳の代わりの飲料)……2カップ
なお、いかなるハーブやスパイスも、過剰摂取は危険を伴うので十分に注意したい。必要に応じて、かかりつけの医師に相談してからとるようにしよう。処方中の薬と合わなかったり、相互作用がおきて危険なレベルに達したりする可能性も否定できないからだ。
[書籍『ハーブ&スパイス大事典』を再構成]
http://www.henshikou.com/blog/blog_20190402_2
ジャズ専門誌への投稿をきっかけに音楽の世界に入り、国内外の音楽の魅力を伝えてきた湯川れい子さん(80)。今年、音楽評論家生活55年、作詞家生活50年を迎えた。この間に音楽を取り巻く環境は大きく変わった。家族がそろってヒット曲を聴くという時代は過ぎ去り、いまは音楽配信で個々が自分の好きな曲を楽しんでいる。
「誰もが知っているヒット曲は少なくなりました。音楽CDが売れないと言われ、実際、売れません。では、人々は音楽を必要としなくなったのか。違います。EDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)をみてください。EDMは、クラブなどでDJが音楽をかけ、観客がリズムに合わせて踊るエンターテインメントですが、2万人、5万人を集めます」
「音楽は時代の生き物。ラジオ、テレビ、レコード、CDといった曲を運ぶ『乗り物』とシンクロしながら伝わっていきます。転換点は1979年のヘッドホンステレオの登場でしょう。自分1人で好きな曲を聴く。タコツボ化です。インターネットが拍車をかけました。いまは耳元何ミリで配信される音楽を聴く時代。音楽の楽しみ方、流通の仕方が変わったんです」
72年から14年間続いたラジオ番組「全米トップ40」などで洋楽を中心にした最新の音楽を紹介してきた。TBS系列の「ザ・ベストテン」など音楽番組が華やかなりしころのヒット曲はカラオケなどで現在も歌われる。いま、自分の心に響く曲にどこで巡り合えるのだろうか。
「インターネットの動画共有サイト『ユーチューブ』が情報源になるケースが多いと思います。それからソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)。最近のミュージシャンはSNSの活用に熱心です。どこでコンサートやライブをやるのか、自分で宣伝をする。多ければ100万人単位で広がりますから、へたなメディアよりも発信力が強い。SNS抜きに音楽は語れなくなっています」
「いまの曲は心に響かないという人もいますね。ただ、後世に残る名曲でも、出た当初は価値に気がつかないことがあるんですよ。ビートルズの『イエスタデイ』。50年前の東京・日本武道館での公演でも演奏したんですが、当時、その価値に言及する人は多くはなかった。人はどうしても、多感な時代に聴いた音楽がいつまでも一番いいと思いがちなんですね」
「その人にとって心地よい音楽、その人にとっての名曲、名演奏があります。昭和歌謡にはまる今の若いひとたちは懐かしんで聴いているわけではない。自分がいいと思うから聴いている。自分が知らない名曲が世の中にはたくさんある。いまの時代のやり方で、いろんな音楽に接してみてはどうでしょう」
音楽に励まされ、生かされてきた
1965年、「涙の太陽」で作詞家としてデビュー。「ランナウェイ」「センチメンタル・ジャーニー」「恋におちて」などのヒットを生み出す。手掛けた作詞は500曲を超える。
「詩が好きな少女でしたが、曲の詞を書くとは思ってもみませんでした。音楽評論家としてラジオ、テレビに出演し、雑誌に連載を持っていましたので目に留まったのか、作詞の依頼が来るようになりました。80年代には作詞、作曲家のレコード会社専属制も崩れてましたから、注文が増えました」
「そのころの歌謡曲は、女性のシンガーソングライターなどを除いて、作詞家はほとんど男性です。歌われている女心は男が思う女心。だって、女って男に追いすがって泣いたりしないでしょ。だめだと思ったら別れます。私が作詞したアン・ルイスさんの『六本木心中』に『女ですもの泣きはしない』というフレーズがあります。女の気持ちを詞に込めたのがヒットにつながったのだと思います」
「当時は歌詞も曲も職業作家がしのぎを削って書いていました。いまは1曲つくるのに時間もお金もかけられない。レコード会社も、とことん売れるという確証がなければ新曲を出したがらない。作詞家という職業はこれから成立しなくなってしまうのではと危惧しています」
東日本大震災では、応援ソングとして「上を向いて歩こう」が歌われたり、「花は咲く」など復興を支援する歌が作られたりした。歌の持つメッセージ性が改めて脚光を浴びた。
「メッセージを込めるといっても、高尚な歌詞にする必要はありません。『さあ、みんなで元気で楽しく生きようよ』というだけで十分だと思います。シンプルなのがいい。作詞家は誰もが、『上を向いて歩こう』を生み出したいと思っているんじゃないです。シンプルで時代を超え、普遍性のある歌です」
「現在、日本音楽療法学会の理事をしています。寝たきりのお年寄りを増やさないように、音楽の力を借りて社会生活ができるように、支援していきたいとの思いからです。私は60代でC型肝炎を発症し、苦しみました。治療中は音楽に励まされました。よく聴いていたのがビートルズの『オブラディ・オブラダ』です。音楽に生かされてきたんですね」
■自選CD・自伝を執筆 黄金時代の熱気を「お裾分け」
6月、湯川さんゆかりの洋楽曲を選んだ「洋楽セレクション」と自作曲から絞り込んだ「作詞コレクション」の各2枚組CDが発売された。タイトルは「音楽を愛して、音楽に愛されて」。まさに湯川さんの人生そのものだ。
10月から、自伝の執筆に取りかかっている。音楽があふれていた家庭、戦後のジャズとの出会い、ロック、ポップス、歌謡曲の黄金時代の熱気……。時代の証言者として、交流のあった海外の有名ミュージシャンの素顔など貴重な逸話を「お裾分けできたら」と言う。
80歳になったいまも、作詞や執筆、イベント、講演とスケジュールは目白押し。最近は戦争体験者として平和を訴える活動にも力を注ぐ。
いま楽しみにしているのがアイスランドでのオーロラ見物だ。来年10月に約2週間の休みを取り、見に行くという。「それまでに自伝を完成させたいですね」
(シニア・エディター 大橋正也)
http://www.henshikou.com/blog/blog_20190402_3
肝臓に中性脂肪がたまる脂肪肝を患う人が増えている。アルコールの飲み過ぎや食べ過ぎによる肥満が原因とされる病気で、症状が進むと肝硬変から肝臓がんになる恐れもある。効果的な治療薬はまだなく、節酒や食べ過ぎを防ぐといった生活習慣の改善が大切だ。
大阪市内に住む40代の会社員男性は、6月に人間ドックで超音波検査を受けたところ、脂肪肝の恐れがあると診断された。これまで勤務先で定期的に受けるメタボリック検査でも肥満と診断されたことはない。アルコールをほぼ毎日、口にするため飲酒量は気になっていたものの、太りすぎという自覚は無かった。
医師からはこのまま症状が進むと、肝臓細胞の一部が固くなる線維化が起き、肝硬変や肝臓がんになる恐れがあると注意された。食生活ではアルコールを飲まない日とする「休肝日」を設けるほか、午後10時以降の遅い時間に食事を取らないよう指導を受けた。
男性はこれまでの生活習慣を改め、会食する日以外はお酒をなるべく控え、自宅では毎晩ストレッチをこなすなど運動不足の解消を心がけるようにした。脂肪肝がこれ以上悪化するのを防ぐとともに、改善を狙っている。
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脂肪肝に詳しい大阪市立大学大学院医学研究科の森川浩安准教授は「肥満でもないのに脂肪肝になる人が少なくない」と指摘する。特に日本人を含めたアジア人は、遺伝的な背景から脂肪を体内にためやすく肥満でもないのに脂肪肝の割合が高いとする調査もある。
脂肪肝は中性脂肪が肝臓にたまった症状だ。おなかなどの皮膚の下にたまる皮下脂肪、臓器の周囲にたまる内臓脂肪に次ぐ「第3の脂肪」と呼ばれる。世界三大珍味として知られ、アヒルなどに大量のエサを与え太らせて作るフォアグラと同じ状態だ。
肝臓になぜ中性脂肪がたまるのか。森川准教授によると、食事から直接たまるのは15%程度で、約6割は皮下脂肪などにある中性脂肪から運ばれた脂肪酸がたまってできるという。食べ過ぎや運動不足で皮下脂肪などにためきれなくなった中性脂肪が肝臓にも蓄積したといえる。
脂肪肝と診断されるのは、肝臓の細胞のうち中性脂肪が30%以上たまった状態。国内の正確な患者数は明らかになっていないが、病院による大規模な調査などから成人の3割に相当する3600万人という推定もある。脂肪肝は肥満との相関が強い。日本では肥満者数は増加傾向にあるため、脂肪肝を患う人も増えていると専門家はみる。
脂肪肝が見つかるのは、冒頭の男性のように人間ドックなどで超音波の検査を受けたり、健康診断で肝機能の異常が見つかった後に肝炎ウイルスが無かったりして分かる場合が多い。
脂肪肝が怖いのは、そのまま症状が進むと肝炎から肝硬変、肝臓がんと悪化するケースがあるからだ。
脂肪肝の症状は大きく分けて2つに分かれる。お酒の飲み過ぎが原因となる「アルコール性脂肪肝」と、食べ過ぎによる「非アルコール性脂肪肝(NAFL)」だ。いずれも症状が進むと肝細胞に炎症が起きる「アルコール性脂肪性肝炎」や「非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)」になり、本格的な治療が必要になっていく。
ただ、肝硬変や肝臓がんまで症状が進むのは、脂肪肝と診断された患者のうち1~2割程度とされる。それでも進行しているかどうかを見分けるには、肝臓の細胞を直接取って調べる生検などに限られ、入院が必要になるなど患者の負担は大きい。このため患者の負担が軽くても診断できる方法の開発が進んでいる。
大阪市立大付属病院では超音波を使って脂肪肝の様子を詳しく調べる方法を導入している。超音波から肝臓の硬さや脂肪の量を測定する方法で、症状の進行を把握できる。同病院では人間ドックの際に追加の負担で受けられる。
血液検査による技術の開発も進む。大阪大学の鎌田佳宏准教授は非アルコール性脂肪性肝炎かどうかを簡単に見分ける診断法の開発に取り組む。血液中に含まれる、あるたんぱく質を手がかりに調べる方法で、患者で試したところ診断ができたという。鎌田准教授は「早期の診断に利用できる」と実用化を目指す。
非アルコール性脂肪性肝炎では国内の製薬企業が治療薬の開発を進めるが、まだ効果的な薬はない。早期の診断方法が広まっていけば、病気が進行して症状が重くなる前に適切な対策がとれるようになる。
最近の研究では、脂肪肝が心臓病や脳血管疾患など様々な病気の原因にも関係しているという報告もある。脂肪肝と診断されたら放置せず、医師のアドバイスを受けながら、食事や運動などの生活習慣を見直すことが大切だ。
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日本では約9割の世帯が何らかの生命保険商品に加入している。保険料の引き下げ競争も進み、商品の差別化が難しくなるなか、保険各社が力を入れるのが付帯サービスの充実だ。保険選びの基本は保障内容と保険料だが、今後は付帯サービスも選択のポイントになりうる。すでに加入している保険のサービスもうまく活用したい。
付帯サービスは、保険商品の契約者やその家族が対象で、大半は無料か割安な料金で受けられる。契約事項には含まれず、積極的にピーアールしていないこともあるので、契約者自身が気付いていないことも多い。
もともと大手各社が様々な付帯サービスをそろえていたが、ここ数年、顧客満足度を高めようと他社の間でも、医療・介護関連の付帯サービスを導入する例が増えている。サービスの内容も多彩で、役立ちそうなものも多い(表)。
「健康面で気になることがある」「具合が悪いが何科を受診したらいいのか」。そんなちょっとした悩みに応えてくれるのが、電話による健康相談。看護師などの専門資格をもったスタッフが24時間365日、対応してくれる。多くの保険会社が専門会社に委託するなどしてサービスを提供している。
夜中の発熱など急を要するときも利用できるので、小さな子どもや高齢者のいる世帯にとっては心強い。電話で助言を受けることで救急車を呼ばなくて済むこともあるかもしれない。自宅近くにある専門病院が知りたい、女性医師のいる婦人科を受診したいといった場合、医師や医療機関を紹介してくれる保険会社もある。
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セカンドオピニオンを聞きたいという人のためのサービスも一般的になってきた。主治医とは別の病院の医師から意見を聞いてみたくても、どうやって病院や医師を探していいかは容易にわからない。保険会社の付帯サービスでは、医療分野ごとにどの病院にどんな専門医がいるのかを教えてくれる。
保険会社によっては医師への紹介状の作成までしてくれる。メットライフ生命保険のように優秀専門医を選定し、受診・治療のスケジュール調整や予約までする例もある。
定期的に受けたいのが人間ドックや、がんの早期発見につながるPET検診。高額な健診を割引価格で受けられる付帯サービスも導入が増えている。乳がん検診や脳ドックの割引が受けられるところもある。割引率や予約代行の有無は保険会社によって異なるので、確認しよう。
自宅に送られてくる検査キットを使って生活習慣病やがんのリスクをチェックする郵送検査を割引価格で受けられる保険会社もある。損保ジャパン日本興亜ひまわり生命には、生活習慣病、糖尿病、がん、肝炎など12種類の検査メニューがある。
介護関連の相談サービスも広がってきた。身内の介護にまつわる悩み事を看護師やケアマネジャーが聞いてくれたり、介護事業者に取り次いだりする。
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生保の付帯サービスについて注意したいのが、サービスを受けられる人の範囲だ。保険会社やサービスによっては、個人向け保険であれば種類にかかわらず、契約者・被保険者やその家族が広く利用できる。
一方、特定の商品や登録した会員に限定する例もあれば、新たに契約する人だけを対象とする保険会社もある。アメリカンファミリー生命保険(アフラック)では、医療保険、がん保険、就業不能保険という保険の種類ごとにサービス・メニューを設けている。
いま契約している保険商品にどんなサービスが付いているのか不明な場合はどうすればいいのか。約款や保険証券には通常書かれていないので、コールセンターや販売担当者に直接問い合わせるのがいいだろう。
電話相談サービスを利用できる場合は、専用電話番号が通知されているはずだ。サービス利用時には保険の証券番号を伝える必要があるので、緊急時の相談に備えて、窓口の電話番号や証券番号を手帳にメモするなどしておくと安心だ。
付帯サービスの内容によっては、加入する健康保険組合や勤務先の福利厚生を利用したほうがお得なこともある。勤務先の情報も確認し、比較するといいだろう。付帯サービスはいわば保険の“おまけ”。保険会社の判断で変更・中止があることは知っておきたい。
http://www.henshikou.com/blog/blog_20190402_5
日本でがんになった患者のデータがすべての都道府県でそろった。年間の患者数が2016年中に100万人を突破するとみられるなか、地域によって特定の部位のがんのかかりやすさや死亡率に差があることが明らかになった。地域に根ざす生活習慣の違いなどが影響している可能性が浮かび上がった。
国立がん研究センターが都道府県ごとに年齢構成のばらつきなどを調整して新たにがんと診断された人口10万人あたりの患者数(罹患=りかん=率)や死亡率などを6月にまとめた。12年分を分析して、全国の患者数を男女合計で86万5238人と推計した。
都道府県のデータを比べると、地域による隔たりが明らかになった。一つが、がんのかかりやすさ(罹患率)と死亡率の高さが必ずしもつながらない例だ。男性では、全国平均を大幅に上回る水準でがんになりやすかったのが秋田県、石川県、鳥取県、島根県、東京都、和歌山県、福岡県。死亡率で全国平均を大きく超えたのは青森県と佐賀県だった。
弘前大学の松坂方士准教授は「青森県は、検診で要精密検査となった人の再受診率が低い傾向にある。ほかの原因は県と協力して調査中」と話す。
佐賀県は「診断時点で既に進行した症例が全国平均より多く、死亡率の高さにつながっている可能性がある」(同県医療センター好生館の佐藤清治副館長)と分析する。
死亡率の低さでは全国平均をはるかに下回る長野県が際立つ。理由は不明だが、男性患者は治りやすい前立腺がんや甲状腺がんなどが全国平均より多い。
女性も比較的治りやすい甲状腺がんが全国平均を上回る。治りにくい肺がんや肝臓がんの人は全国平均より少なく、全体の死亡率を下げたとみられる。
◇ ◇
都道府県の比較では、一部のがんは生活習慣の違いが、がんのなりやすさを左右していることをうかがわせた。
胃がんでは東北や日本海側で高い。塩分の多い食事を好む地域性と関係しているようだ。胃がんのリスクを高めるピロリ菌は胃の塩分濃度が高いと生き延びやすいという。
肺がんのなりやすさは男女ともに石川県、和歌山県、福岡県で目立つ。女性では東京都が高い。死亡率は男女ともに北海道が1位だ。厚生労働省の国民生活基礎調査(13年)では男女合計の喫煙率で北海道が全国1位。喫煙率の高さなどとの関連が疑われる。
乳がんは東京都が突出し、死亡率も全国3位だ。国立がん研究センターの松田智大・がん登録センター室長は「出産や授乳の経験がない女性では乳がんになるリスクが高まるとされている。東京都は出生率が全国で最も低く、乳がんの罹患率を引き上げる要因の一つになっている」と指摘する。15年の出生率は全国が1.46だが、東京都は1.17と最下位だ。
福岡県や愛媛県なども高かったが、出生率は低いわけではない。アルコール飲料の摂取や肥満など複数の要因もリスクを高めるとみられる。
◇ ◇
大腸がんは男女ともに東北地方と関西地方で目立った。青森県は男女ともにがんのなりやすさは全国2位で、死亡率は1位だった。「大腸がんには肥満と運動不足が関係しているといわれる。青森県は肥満の割合も高く、1日の歩数も少なく、大腸がんの多さにつながっているのではないか」と松坂准教授は考える。
厚労省の国民健康・栄養調査(12年)によると、肥満度を表す体格指数(BMI)の平均値で青森県は男性が全国2位、女性は同6位だった。1日の歩数は男性が全国37位、女性が42位。県民の運動不足が続いているとすれば、改善によって大腸がんを減らせるかもしれない。
肝臓がんは近畿地方から西側で多い。佐賀県や福岡県の県境を流れる筑後川流域には住血吸虫が多く、かつて全国でも問題になった治療に使う注射針の使い回しで、肝臓がんの原因となるC型肝炎の患者が広がったとされる。佐賀県は肝臓がんの死亡率が16年連続全国1位との調査もある。佐藤副館長は「県が検診に力を入れ続けた結果、ここ数年で受診率は向上しており、死亡率は全国平均に近づいている」という。
データの精度が十分ではない自治体もあるが、都道府県別のがんのかかりやすさなどを比べれば、対策の参考になる手掛かりも得られる。「各都道府県は検診体制などに生かしてほしい」と松田室長はアドバイスする。
◇ ◇
■引っ越しで転院・隣県で診断 精度のばらつき課題
がん罹患(りかん)数の全国推計は10回目だ。もとになる地域がん登録は今回の2012年分で全都道府県のデータが初めてそろったが、自治体によって精度にばらつきがある。
例えば、千葉県と神奈川県は人口10万人あたりの新たな患者数を示す罹患率が全国平均より低い。これは「両県の患者が東京の病院で診断を受けている影響が出て、低い数字になっているため」と国立がん研究センターがん登録センターの松田智大室長は指摘する。
地域がん登録では引っ越しで病院が変わったり他県の医療機関で診断を受けたりした場合、データが正確性を欠くという。国はがん患者の実態を正確に把握するため、1月から全国共通の集計制度「全国がん登録事業」を始めた。18年には全国がん登録に基づく罹患数などが公表される予定で、それまでは厳密に地域差を比べるのが難しい。
(西山彰彦)
[日本経済新聞朝刊2016年8月14日付]
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