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ワクチンで予防できる病気は多く、特に乳幼児は積極的な接種が勧められている。かつては欧米に比べ使えるワクチンの少なさが指摘されたが、近年は認可が進み「ワクチンギャップ」は解消されつつある。それでも大きな違いがある。接種する種類が同じでも、注射回数が多いケースがあることだ。子供や保護者にとって負担は小さくないが、なぜなのだろうか。
「はーい、ママの方を向いてね。もう終わったよ」
東京都品川区の鈴の木こどもクリニックには多くの乳幼児が予防接種を受けに来る。鈴木博院長は「最近、日本で使えるワクチンが一気に増えたのはうれしい」と話す。
少し前まで日本は「ワクチン後進国」と呼ばれていた。2007年時点では細菌性髄膜炎の原因となる「ヒブ(インフルエンザ菌b型)」や「肺炎球菌」など、感染すれば後遺症を伴う恐れがある病原体に対し、海外で認可されたワクチンが使えなかった。
■種類増えたが…
09年の新型インフルエンザの世界的流行などを受け、それらは次々に認可された。医療現場に浸透し、種類を巡る欧米とのギャップは小さくなった。
ただ日本の子供の接種回数は多く、スケジュールは複雑だ。海外で一般的な多くの種類を組み合わせた多種混合ワクチンの認可が遅れていることが背景だ。
例えば国内では「ジフテリア」「百日ぜき」「破傷風」「ポリオ」の4種混合ワクチンを使う。これと別にヒブと「B型肝炎」のワクチンを打つ。この3ワクチンは定期接種の対象で生後24カ月までの接種回数は計11回。同じ日にまとめて注射することもある。
しかし欧米では4種混合にヒブを混ぜた5種混合や、さらにB型肝炎を加えた6種混合もある。5種混合を使う米国の接種回数は8回、6種混合を使うドイツとフランスはそれぞれ4回、3回だ。
鈴の木こどもクリニックの鈴木院長は「5種、6種混合が使えれば子供の苦痛が減るだけでなく、接種スケジュールが簡単になる。通院の負担や打ち忘れも減る」と強調する。
そうしたワクチンが認可されない理由に製造上の規制がある。国が決めた「生物学的製剤基準」は含有成分量や必要な試験などを細かく規定。日本独自のものもあり、海外のワクチンはそのままでは基準外になることが多い。
混合ワクチンは1本に入れられるそれぞれの抗原が単体ワクチンに比べ少なく、接種で体内にできる免疫力をより高めるため添加物が必要になる。その種類や量が基準外と判断される場合がある。また混合でも各病原体に対し単体と同等の高い効果を求められ、クリアは容易ではない。米国研究製薬工業協会は「海外で実績があっても認められず、日本は閉ざされた市場だ」と批判する。
■根強い不信感
厳しい基準の背景には、過去にみられたワクチンの副反応への懸念がある。ワクチンに関する国の検討会委員の経験がある小児科医の薗部友良氏は「ワクチンに対して不信感が醸成されやすく、国が積極的に動きにくい」という。
国産で開発を進めたい意向もある。ワクチンは培養技術などが必要な生物学的製剤と呼ばれ、一般の医薬品に比べ生産が難しい。「海外産に全て依存すると感染症が流行したときに足りなくなるリスクがあり、国産を供給できる体制は必要」(薗部氏)
子供を育てる母親からは「海外はワクチンの接種回数が少ないとは知らなかった。注射が減らせるようになってほしい」(品川区の28歳の主婦)などの声があがる。国内ではジフテリアと百日ぜき、破傷風、ポリオにヒブを加えた5種混合ワクチンが最終段階の臨床試験に入っている。数年内に認可される可能性もあり、少しずつだが過密な接種スケジュールの緩和も進みそうだ。
◇ ◇
■副反応、配慮も必要
ワクチン接種に伴う副反応は過去に相次いでおり、安全性への配慮は不可欠だ。
1989年に接種が始まった「麻疹」「おたふくかぜ」「風疹」へのMMR3種混合ワクチンでは、数百人に1人の高頻度で髄膜炎が発生。93年に接種が中止になった。国内で作ったおたふくかぜウイルス株の弱毒化が不十分だったため。海外では「水ぼうそう」を加えた4種混合が認可されているが、日本はおたふくかぜを除いた2種混合の認可にとどまる。
「ジフテリア」「百日ぜき」「破傷風」のDPT3種混合ワクチンでは、75年に2件の死亡例が出た。百日ぜきの菌体処理技術が原因で、いったん接種中止に。一方で接種率低下で百日ぜきが流行、多くの死者が出た。現在は改良され接種されている。
最近でも子宮頸(けい)がんワクチンを接種した女性の一部が全身の痛みなどの症状を訴え、国と製薬会社に損害賠償を求め集団提訴した。厚労省の研究班は昨年12月に「接種歴がなくても同様の症状をもつ女性が一定数いる」とする調査結果を公表したが、接種と症状の因果関係は判断していない。
http://www.henshikou.com/blog/blog_20190401_25
体がだるい――。休養しても回復しない疲労感や倦怠(けんたい)感は、深刻な病気の前触れや症状の1つかもしれない。「だるさ」はほとんどの病気で感じるだけに、それだけで原因を特定するのは難しい。適切な治療のためには他に症状はないかよく考え、診療科を選びたい。総合診療医に見極め方を聞いた。
だるくて仕方ないとか体が重いという経験は誰にでもあるだろう。睡眠不足や過労など、思い当たる生活習慣の乱れがあれば心配無用だ。しっかり休養すれば回復する。でも、いくら休んでも疲れが取れなければ、何らかの病気が潜んでいる可能性がある。医師の診察や検査が必要になる。
千葉大学医学部付属病院・総合診療科の生坂政臣教授は「だるさを訴える人には、まず、不眠かどうかを尋ねる」と話す。寝付きが悪かったり、夜中に頻繁に目が覚めたり、必要以上に朝早く起きたりする場合は「うつ病を疑う」という。
ほかにうつ病の特徴としては「抑うつ気分がずっと続き、趣味を楽しんだり、飲みに行ったり、という気分転換ができなくなる」と大阪医科大学付属病院・総合診療科の鈴木富雄教授。
だるいと一口に言っても、うつ病のように精神的なものだけではない。体の臓器や器官の病変が引き起こす倦怠感を忘れてはいけない。
■免疫反応の結果
圧倒的に多いのは感染症。風邪やインフルエンザだけでなく急性肝炎や結核にかかると非常にだるくなる。鈴木教授は「細菌やウイルスを排除しようと、サイトカインという物質が体の中に増える。この免疫反応がだるさの原因」と説明する。
実はこのだるさは「エネルギー保持のため備わった体の働き」(鈴木教授)。だるいと、寝るなどして体を休ませ、細菌やウイルスに対抗するためのエネルギーを温存できる。インフルエンザは発熱、急性肝炎は皮膚や白目が黄色くなる黄だん、結核はせきと体重減少、寝汗などを伴う。
ホルモンの異常、いわゆる内分泌系の病気もだるさを生じやすい。代表は甲状腺ホルモン量が多くなりすぎる甲状腺機能亢進(こうしん)症。バセドウ病が知られる。生坂教授は「食欲があるのに痩せてくる。イライラする。手が震える。汗をかきやすい」といった特徴を指摘する。
喉が異常に渇くとか尿量の増加で病気に気づくことが多い糖尿病も、実はだるくなる頻度が高い。膵臓(すいぞう)から出るホルモンのインスリンが少なかったり、うまく働かなかったりで、血液の中のブドウ糖を細胞に取り込んでエネルギー源にできないためだ。
だるさのほかに吐き気や食欲不振が伴うなら、慢性副腎皮質機能低下症が考えられる。左右の腎臓の上にある副腎から分泌するステロイドホルモンが慢性的に少なくなる病気だ。鈴木教授は「副腎機能が衰えると、だるいどころか血圧が下がり、命に関わることもある」と警告する。
全身のさまざまな器官に慢性的に炎症が起きる膠原(こうげん)病もだるさが出る。膠原病とは関節リウマチや全身性エリテマトーデス(SLE)などを総称する。「関節痛や皮膚の湿疹を伴えば、これらの病気を疑う」(鈴木教授)
■肺の炎症も注意
だるいうえ、階段を昇るなどで息切れする場合は、心臓か肺の病気かもしれない。全身に血液を送る心臓のポンプ機能、あるいは酸素と二酸化炭素を交換する肺機能が衰えている可能性がある。「下半身にむくみがあれば心臓、咳やたんが出れば肺」(生坂教授)といった症状が出やすい。
「なかでも最近問題視されているのは慢性閉塞性肺疾患(CОPD)」と生坂教授。たばこの煙などを長期間吸うなどで肺に炎症が起きる病気だ。呼吸困難や全身のだるさが続くという。
一方、血液や画像検査でどの臓器や器官にも異常が見つからず、うつ病でもないのに、何もできないほど猛烈にだるい状態が長期に続くという訴えがある。「慢性疲労症候群の可能性が高い」と生坂教授。発症原因が解明されていない厚生労働省の指定疾患だ。
ただの疲れとは思えないだるさが続くようなら、病院の総合診療科などを受診し相談を。深刻な病気のサインを見逃さないようにしよう。がんなど悪性腫瘍は進行するにつれ、だるさが増していくとされる。鈴木教授は「増殖するがん細胞が大量のサイトカインを出すのに加え、臓器の機能不全や栄養不良も引き起こすため」と話す。
◇ ◇
■薬の副作用のケースも
だるさを感じるもう1つの原因に薬の副作用がある。「多くの睡眠薬や精神安定剤に含まれているベンゾジアゼピンという成分は、体を非常にだるくする」と鈴木教授。
血圧を下げたり、心臓病を予防したりするのに使われるβ(ベータ)遮断薬も、かなりのだるさをもたらす場合がある。
また鈴木教授は「鼻水などのアレルギー症状や花粉症に有効な抗ヒスタミン薬も、だるさと眠気を感じることが多い」と話す。花粉症だけでもだるいのに、薬の服用により、だるさが増す。
診察を受ける際は、お薬手帳を忘れずに。全身の倦怠感があまりに強い場合は、医師に処方薬の調節を相談したい。
http://www.henshikou.com/blog/blog_20190401_26
長野県東御(とうみ)市。かつては養蚕で栄えた山間地に、ワイナリーのオーナーを夢見る中高年が都会から続々と押し寄せ、一大ワイン産地を形成しようとしている。強力な磁石の役割を果たしているのが、エッセイストで画家の玉村豊男さん(71)が建てたヴィラデストワイナリー。フラッグシップの「ヴィニュロンズ・リザーヴ・シャルドネ」は、2016年5月に日本で開かれた主要7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)の晩さん会で各国首脳をもてなした至極の信州ワインだ。
■北アルプスを背に広がるブドウ畑
ヴィラデストを訪れたのは12月中旬。畑のブドウの木は一枚残さず葉を落とし、すっかり冬の装いを見せていた。正式名称「ヴィラデスト ガーデンファーム アンド ワイナリー」の名が示す通り、ワイナリーの隣には、春から夏にかけて色とりどりの花が咲き乱れる庭園が広がり、遠くには雄大な北アルプスのパノラマが広がる。
醸造施設の入った建物の2階には、ショップとレストランがあり、ワインを買ったり、食事と一緒に楽しんだりできる。料理の食材は自家農園を含めた地元産の新鮮な野菜や肉が中心。もちろん、ワインとの相性は抜群だ。交通の便がよくないにもかかわらず、毎年3万~4万人の観光客が訪れる。玉村さんもよくカフェで接客するという。
ヴィラデストを訪れるのは観光客だけではない。田舎暮らしを考えている人や、第二の人生はワイナリーのオーナーという人たちも、玉村さんに相談しにやってくる。そういう人たちは大抵、他の客がいなくなる瞬間をとらえて近づいて来るので、「すぐにわかる」と玉村さんは笑う。
■東大卒のエッセイスト 療養からワイン造りへ
玉村さんはもともと、東京大学仏文科を出てエッセイストとして活動。長野県軽井沢町に住んでいた時に原因不明の吐血をし、その時の輸血が原因で肝炎にかかった。療養生活を余儀なくされたのを機に、人生の後半は農業をして暮らそうと、夫婦で東御市に移住。今から25年前、45歳の時だった。
ワイン好きだった玉村さんは、新居の近くの土地を開墾してブドウ畑をつくり、赤ワイン品種のメルローと白ワイン品種のシャルドネの苗木を500本植栽。収穫したブドウは隣の小諸市にある大手ワイナリーに持ち込んで醸造してもらい、できたワインは自分で飲んだ。だが、初めはブドウの木が若すぎたこともあり、まったくおいしくなかったという。「毎日くたくたになりながら開墾し、ようやくブドウを育てたのに、まずいワインしかできずにどうしようかと思った」と笑いながら話す。
やがて、玉村さんや、多くの日本人の人生を変えることになる出来事が起きる。玉村さんと縁のあった大手酒造会社が、近くにワイナリーを建てる計画を打ち上げたのだ。それなら自分も力になりたいと、農家から土地を買ったり借りたりして畑を拡張。日本ワインの父と言われた醸造コンサルタントの麻井宇介(本名・浅井信吾)氏を招いて、栽培醸造技術者の育成も始めた。
■借金してワイナリー建設
ところが、諸々の理由で計画はとん挫した。後に残ったのは、自家用には広すぎるブドウ畑と、育てた新米の醸造家。玉村さんは、ここでやめるのはもったいないと考え、自分でワイナリーをつくることを決意した。「実は、麻井さんの指導を受けてから、ワインの味が急速に良くなっていた。これはいけると思った」という。
問題はお金だった。ワイン造りをするには、破砕機や醸造タンク、熟成樽(たる)などを一式そろえなければならない。もちろん建物も必要だ。反対する妻や周囲を説得し、1億6000万円の借金をして、何とかワイナリーを建設。2003年に醸造免許を取得し、醸造を始めた。
玉村さんの舌に狂いはなかった。醸造したワインは当初から高い評価を受け、08年の洞爺湖サミットでは、早くも05年に収穫、醸造したヴィニュロンズ・リザーヴ・シャルドネがワーキングランチのワインに採用。その後も、国際コンクールで次々と賞をとるなど、押しも押されもせぬ日本を代表するワイナリーへと成長した。
高評価の理由は、麻井氏からマンツーマンの指導を受けた醸造責任者、小西超さんのおかげと玉村さんは強調する。気候がブドウの栽培に適していることも幸いした。ブドウ畑のある場所は標高850メートルの高地。日照時間が長く、昼夜の寒暖差が大きい。ブドウがよく熟し、酸も十分。出来上がったワインは果実味があり、酸味もしっかりしたエレガントな仕上がりとなっている。
■金融、IT関係者らも移住
ヴィラデストのワインが評判になると、東御市でワイン造りをしたいという人が現れた。10年、近くに2軒のワイナリーがオープン。オーナーはいずれも移住者だ。
11年3月の東日本大震災以降、「移住したい」「ワイナリーをやりたい」と相談に来る人が急に増えたと玉村さんは言う。「相談者は40歳代が一番多いが、それくらいの歳になると人生の先行きが見えてくる。そこで、自分の人生をもう一度見つめ直し、本当にやりたいことをやりたいと考える人が、震災以降、増えたのは間違いない」。
相談者の中には、金融やIT(情報技術)関係者も多いという。「ワイン造りの仕事には、ものづくりの実感がある。しかも、ワインは土地や造り手によって味わいが変わるから、自己表現もできる。好きなワインで自分を表現し、それを誰かに評価してもらう喜び。金融やITの仕事ではなかなか味わえないのではないか」
人生の後輩たちの受け皿として、15年、ヴィラデストの近くに「千曲川ワインアカデミー」を開校した。授業は週2日。栽培醸造技術から、資金調達の方法、ワイン市場の最新の動向まで、ワイナリー経営に必要な知識を1年間かけてびっしり学ぶ。畑に出ての実習もある。15年は24人、16年は27人が受講した。女性も数人ずついる。
授業は2日とも平日なので、都会でサラリーマンをしながらの通学は難しい。ほとんどが会社を辞めてくるという。受講生や卒業生の中にはすでにブドウ栽培を始めた人も多い。玉村さんによると、受講生・卒業生を含め東御市内でブドウ畑を持っている人は30人以上、隣接する小諸市内で10人前後にのぼり、数はどんどん増えている。アカデミーの開校と同時に、地域ファンドや政府などの支援を得て地域の基盤ワイナリーとなる「アルカンヴィーニュ」も設立した。自前の醸造施設をまだ持てないブドウ生産者を支援するためだ。
■千曲川にワインバレーを
玉村さんの夢はさらに膨らむ。具体的に動き出しているのは、千曲川流域を一大ワイン産地にする「千曲川ワインバレー構想」だ。今年、地域の5つのワイナリーと1つのチーズ工房を結ぶ循環バスの試験運行を始めた。長野県も玉村さんの構想に乗り、さらに広域の「信州ワインバレー構想」を打ち出している。
「この周辺は、ワインだけでなく、チーズも生ハムも、本場のヨーロッパに負けないものができる。小さなワイナリーがいくつもあって、チーズやハムをつくったりする人もいれば、そこで暮らす人にとっても訪れる人にとっても楽しいじゃないですか。そうした農業をベースとしたライフスタイルがこの地域に広がり、それが地域振興にもつながれば、最高ですよ」。玉村さんは、柔和な表情を浮かべながら、そう話してくれた。
アクセス情報 ヴィラデストワイナリーへは、北陸新幹線上田駅下車。タクシーで約30分。車は上信越自動車道の東部湯の丸ICで下り、約10分。ワイナリーの営業は、ショップ、カフェ(レストラン)ともに午前10時から日没まで。ただし、1~2月は冬季休業。詳しくは、電話(0268・63・7373)か、ホームページ(http://www.villadest.com)まで。
http://www.henshikou.com/blog/blog_20190401_27
もういくつか寝ると、待ちに待った冬休み。今年の海外旅行先はアジアの人気が高いようだ。しかし、ご用心を。熱帯・亜熱帯に属する東南アジアには一年を通じて蚊がおり、ジカウイルス感染症(ジカ熱)をはじめとする、様々な感染症の危険がある。適切な対応を知って出かけよう。
蚊による感染症の中でも“新顔”のジカ熱は、2007年に南太平洋ヤップ島で流行するまではほとんど問題にされなかった。15年にはブラジルでも流行し、リオ五輪での感染が懸念されたが、幸い五輪開催の8月は現地が冬で蚊の活動性が低く、感染者を出すことはなかった。
■初期症状は微熱
しかし、シンガポールやタイでは既に数百人規模で感染したとの報告がある。もはや東南アジアは流行地帯といっても過言ではなく、旅行者は防蚊対策が必要だ。
蚊を介してジカウイルスに感染してから発症するまでの潜伏期間は2~14日程度。短期旅行者は帰国後に発症することになる。熱と付くが微熱程度のことも多い。その後、顔を含む全身に赤みを帯びた発疹が広がる。まぶたの裏の結膜が充血することも。発疹はかゆみを伴うこともあり、この段階で驚いて受診する人が多いようだ。はしかや風疹、薬剤によるアレルギーでもこうした発疹が出ることがあるので、見極めも必要になる。
血液あるいは尿の中のウイルスを調べてジカ熱と診断される。特別な治療薬はないため、かゆみ止めなど症状に応じた薬を使う。1週間ほどで発疹も治まる。法律で隔離される病気ではなく、行動は制限されない。
ジカ熱感染の大半は、感染者が蚊に刺され、その蚊が他の人を刺すことで起こる。ヒトスジシマカという種類で、日本国内でも北海道を除く全土にいる。国内では夏から秋口にかけて以外に蚊を介して感染が広まることはなさそうだ。
しかし、血液以外に、男性であれば精液、女性であれば膣(ちつ)分泌液にもウイルスが見つかることが知られている。国立国際医療研究センターの忽那賢志医師は「ジカ熱感染後、パートナーに感染させる危険があるので、男性は6カ月、女性は8週間、コンドームを用いるなどの注意が必要だ」と指摘する。
ジカ熱自体は命に関わる病気ではない。ただ、ごくまれに、ジカ熱の後にギラン・バレー症候群という運動神経の働きが落ちる病気が起こり、しびれなどの後遺症が残ることがある。1カ月ほどが症状のピークのため、その間に神経内科などを受診し、適切な処置を受けたい。
■胎児にリスク
ジカ熱で最も注意しなくてはならないのは、妊婦が感染した場合だ。胎盤を通じておなかの赤ちゃんに感染する。すると胎児が成育せず流産する場合や、脳が発達しない小頭症になるリスクも高まる。胎児の脳神経細胞がウイルスに冒されると大脳皮質が少なくなり、見た目でも明らかに頭が小さく、発育が遅れることもある。
母子感染に詳しい、さくらレディスクリニック(埼玉県所沢市)の小島俊行医師は「妊娠13週までの感染が最も危険。その後はリスクが低下するという報告が多い」と語る。
妊婦はもちろん、妊娠を計画している女性やそのパートナーの男性は、まず自分が感染しないようにすることだ。小島氏は「こうした人たちは、流行地域への渡航を極力控えたほうがいい」と語る。どうしても行くなら、蚊が媒介する感染症への予防手段を十分に講じ、感染を防ごう。
蚊は二酸化炭素を好んで寄ってくる。長袖・長ズボンで皮膚の露出を避け、虫よけクリームやスプレーを用いる。蚊よけ効果が認められるディート(DEET)という成分入りのものを選ぶ。顔も目の周囲を避けながら塗ったほうがいい。「ディート入り薬剤を妊婦が使っても、旅行できるような安定期以降なら胎児に影響が出たという報告事例はない」(小島氏)
ヒトスジシマカによるデング熱、チクングニア熱、ジカ熱、ハマダラカによるマラリア、さらには食物や水を介したウイルス性肝炎など、日本とは勝手が違う渡航先の感染症。流行情報は厚生労働省検疫所のウェブサイト「フォース(FORTH)」(http://www.forth.go.jp/)で調べられる。
渡航前にチェックし、感染の危険が常にあると考えて行動しないと、楽しい旅行の思い出が苦いものになりかねない。
◇ ◇
■妊娠初期に「TORCH」警戒
母子感染する病原体は実はとても多い。とりわけ妊娠初期の妊婦は、国内にいても「TORCH(トーチ)症候群」に十分注意したい。「T」はトキソプラズマ原虫、「O」は梅毒などその他、「R」は風疹ウイルス、「C」はサイトメガロウイルス、「H」は単純ヘルペスウイルスを指す。
それぞれ小頭症や水頭症、心臓や目、耳に障害が出る先天性風疹症候群などの子どもが生まれる可能性がある。トキソプラズマは十分加熱していない肉やネコのふんなどが感染源。小島氏は「鉄分を補給しようと食べたレバ刺しで感染、子どもに影響が出ることもある。妊婦は知識を蓄えて」と呼びかける。
http://www.henshikou.com/blog/blog_20190402
■二日酔いに効くのはクルクミンだけではない
もっぱらカタカナ表記されることの多いウコンであるが、日本においてウコンといえば、秋ウコンと称される「鬱金(ウコン)」、もしくは春ウコンと称される「姜黄(キョウオウ)」のことを指すのが一般的だ。
中でも、秋ウコンの主要成分であるクルクミンは、二日酔いの予防に力を発揮するといわれている。「クルクミンは、植物特有の成分ポリフェノールの一種なので、ポリフェノールが持つ抗酸化作用によって、アルコールの代謝能力を高めると考えられています。アルコール代謝の過程でできたアセトアルデヒドといった過酸化物の分解も促すので、二日酔いの予防も期待できます」(丁さん)
ただし、二日酔いの予防効果は、クルクミンに限った話ではないという。「ウコンにはクルクミン以外にも、胃腸の働きをよくする成分や抗炎症の働きのある成分など、さまざまな効用を持つ成分が含まれており、それらが総合的に働いて、体に有益な効用をもたらしているのです」と丁さんは続ける。要するに、ウコン由来のクルクミンだけでとるのではなく、ウコンは丸ごと食べることがベストなのだ。
しかも、クルクミンは、水よりも脂分に溶けやすい性質がある。そのため、粉末やサプリメント、ドリンク剤などで摂取したとしても、思っているほど体には吸収されないこともあるという。サプリメントなどを利用する場合は、油脂分を含む食事と一緒にとるのも一手だ。
■宴会当日はカレーをランチでとる
ウコンのとり方について丁さん一番のオススメは、カレーだ。「秋ウコンは別名ターメリックと呼ばれ、カレー粉の黄色い成分こそ、ウコンそのものの色。カレーはルウや材料に脂質が多いため、クルクミンなどを吸収しやすい形でとることができます」(丁さん)
さらに、豆入りカレーなら、大豆レシチンなどの脂質も加わり、クルクミンなどの吸収効率は上がると考えられている。「宴会の直前では満腹になってしまうでしょうが、ランチで食べても効果がありますよ」と丁さん。
そのとき、カレーは辛さを問わない。丁さんによれば、子ども向けの甘いカレーでも効果はあるとのこと。ルウの黄色い色は、ウコンを含む証拠なのだ。
■ウコンのとり過ぎで肝機能に影響を及ぼした例も
肝臓の働きを助けるというウコンであるが、肝臓専門医の中には、肝臓に負担をかけ過ぎる副作用を心配する声もある。実際、C型肝炎や肝硬変を患っていた人がウコンのとり過ぎで、症状を悪化させた例もあるという。
「ウコンには鉄分などのミネラルが多いため、それが肝臓に負担をかけることになります。しかし、健康な人の場合、過剰に摂取するのでなければ、特に問題ありません」と丁さんは説明する。「粉末やサプリメント、ドリンク剤などは、それぞれの製品が定めている用法を守って 口にしていれば、基本的に問題ないでしょう」(丁さん)