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サッカーワールドカップ(W杯)開催地ブラジルの一部で黄熱病やデング熱の危険、世界保健機関(WHO)が中東呼吸器症候群(MERS)を警戒――。日本国内にいると忘れがちだが、海外には感染症の危険地域が多い。出かける場合は甘く見ないで準備や現地での行動に注意しよう。
今月12日(日本時間13日)にW杯が開幕するブラジルは地域によって黄熱に感染する恐れがある。治療の特効薬がなく、ワクチンの予防接種が推奨されている。黄熱は熱帯アフリカと中南米の風土病で、発熱や悪寒、頭痛、吐き気などの症状がある。致死率が高く、5~10%といわれる。
■事前に情報チェック
W杯会場となる都市の一部は予防接種の推奨地域内にある。日本チームの1次リーグでは、24日の第3戦が開催されるクイアバが含まれる。接種して10日後から有効だが、早めの準備が必要。観戦で渡航する人は地域や時期に応じて必要な対応をすでにしていることだろう。
ブラジルはデング熱の危険地域でもある。5月には一部の都市でW杯期間中のリスクが比較的高いと予測する研究報告も英医学誌に発表された。これには14日の日本の第1戦の都市レシフェ、19日の第2戦のナタルが含まれる。
デング熱は発熱、頭痛、筋肉痛、関節痛、発疹などの症状がある。特効薬も予防ワクチンもない。一部の患者は胸水や腹水、鼻や口、消化管からの出血などを起こすこともあるデング出血熱になる。致死率は1%以下といわれる。
現地ではまず「蚊に刺されないように注意することが大切だ」と川崎市健康安全研究所の岡部信彦所長は話す。黄熱もデング熱も人から人へはうつらず、蚊が媒介する。対策としては長袖、長ズボンなどを着て肌を出さないようにする。虫よけスプレーなども必須だという。
「熱が出ても解熱鎮痛剤のアスピリンを使わない」と岡部所長は注意する。アスピリンは血を固まりにくくする作用もあり、もしデング熱が原因の発熱だった場合、出血を助長する恐れがある。日本で日ごろアスピリンを使っている人は要注意だ。高熱や強い痛み、黄疸(おうだん)など重い症状が出たときは急いで現地の医療機関を受診することも大切という。
W杯に限らず海外に行くときは早めに厚生労働省検疫所のホームページなどで感染症の情報をチェックし、対策を取ることが重要だ。例えばブラジルは地域などによってはA型やB型の肝炎、狂犬病なども予防接種が推奨される。デング熱は東南アジアなども流行地域だ。
最近、WHOが警戒を強めているのはサウジアラビアを中心に流行するMERSだ。同国の首都リヤドで働いていた60代の米国人男性は4月中ごろ、微熱が出て気分が悪くなった。呼吸器の症状はなかった。約10日後にロンドン経由でシカゴに渡航。その3日後、息切れやせき、発熱などが起き、翌日に救急救命室で診察を受けた。
MERSの症状は発熱、せき、肺炎、下痢など。軽症の人も多いと分かってきたが、それでも致死率を患者データで単純計算すると約30%と非常に高い。特効薬や予防ワクチンはない。厚労省は日本で患者が見つかった場合に強制的な入院などが可能な感染症の分類に入れることを決めた。
今年4月に感染者が急増。すでに米国や欧州、アジアでも見つかった。ただ、患者は中東への渡航歴がある人たちで、流行地域が広がったわけではないので、中東に行く場合には気をつけよう。
■持病ある人重症に
「特に持病のある人は要注意」と国立感染症研究所の松山州徳室長は助言する。MERSの症状は発熱、せき、肺炎、下痢などだが、「重症になるのは持病のある人と分かってきた」。糖尿病や高血圧、心臓病の人、腎臓病で透析している人などだ。
「ラクダに近づかないようにする」(松山室長)。主な感染源はヒトコブラクダとほぼ決まってきた。現地ではラクダのミルクを未殺菌で飲むケースがあるので、これも避けた方がよいという。
飛沫感染が主体と考えられるが、人から人への感染は濃厚接触の場合で、継続的に人の間で感染が広がる状況ではない。潜伏期間は2日~約2週間と考えられている。帰国後に発症した場合は感染症外来のある医療機関を受診し、中東を訪れたことを医師に告げる。検疫所や保健所に相談するのもよいだろう。
このほか海外の感染症では下痢などを起こす例が多いので、水と食べ物に注意するのが基本だ。「生水は飲まず、いったん沸かした水か、ペットボトルのミネラルウオーターを飲む。氷にも注意する。生ものは避け、十分加熱した料理を食べる」(岡部所長)。果物を口にしたいときは、皮をむいてないものを自分でむいて食べれば比較的安全という。手指もよく洗おう。
感染症の種類にもよるが、患者との濃厚接触を避け、不用意に動物に近づかないように心掛ける。安全な日本とは違うという意識が大切だ。
http://www.henshikou.com/blog/blog_20190402_44