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年末年始にお酒をかなり飲んだり、甘い物を食べすぎたりした人も多いはずだ。飲み過ぎや食べ過ぎを重ねると、肝臓に中性脂肪が必要以上にたまる「脂肪肝」が起こりやすくなる。脂肪肝になると肝がんや脳梗塞、心筋梗塞などのリスクが高まることが知られている。たまに羽目をはずすことがあってもよいが、日ごろの生活ではなるべく節制することが大切だ。
奈良県に住む60代の男性Aさんは、若いときから酒をかなり飲む方だった。毎日のように晩酌をたしなんでいたが、全身がむくんでしまう症状が表れた。そこで奈良県立医科大学付属病院を受診すると、入院することに。検査では全身のむくみのほかに、目の白い部分が黄色くなる黄疸(おうだん)がみられ、腹部にも水がたまっていた。
■自覚症状ほぼなし
診察した同大の福井博教授は、肝機能が低下していたことなどからアルコール性の脂肪肝が進み肝障害になったと判断。薬剤を投与し、むくみを解消した。数日後には衰えていた食欲も回復した。
Aさんは入院を機に、禁酒を実施した。退院して1年ほどたった今は肝機能の状態を示す数値が正常に戻った。黄疸などの症状も起きていない。ただ、肝臓の一部は細胞が破壊され肝硬変となっており、今後も禁酒を守っていくと福井教授に誓っている。
脂肪肝は中性脂肪が肝臓にたまっている状態だ。肝臓には通常でも中性脂肪があるが、必要以上たまってしまうと脂肪肝と診断される。この状態を放置しておくと、肝炎を発症し肝機能が下がる。さらに肝硬変、肝がんなど重い病気に進む危険性が高まる。
やっかいなのは脂肪肝になっても自覚症状がほとんどないこと。脂肪肝の段階でむくみやだるさ、食欲不振などを訴える例は少なく、健康診断時の血液検査などで分かるケースが多いという。脂肪肝はAさんのようなアルコールが原因となるタイプと、非アルコールタイプがある。
アルコールを摂取すると、肝臓で分解され「アセトアルデヒド」という物質ができる。また「エンドトキシン」という腸内細菌が腸管を通って肝臓に達しやすくなる。「この2つが引き金となり、肝臓で免疫過剰などの反応が起こり、炎症や細胞の壊死(えし)などをもたらす」と福井教授は解説する。アルコール性の脂肪肝から炎症を起こす人は国内に500万人以上いるとみられている。
対策は深刻な病気になる前に飲酒量を減らすことだ。肝機能を示す代表的な「γ―GTP」という数値は、禁酒して2週間もすればかなり改善するという。ただ、お酒を控えるのが良いと頭では分かっているものの、なかなか実行が難しい人も多い。福井教授は「禁酒して体の調子が良くなると大量に飲んでしまい、また悪化するという繰り返しが多い。摂取量を減らすよう心がけるのが現実的だ」と助言する。
適量は日本酒で1日1合、ビールなら大瓶1本程度。アルコールに弱い体質を持つ人もいるので、これはあくまでも目安。ほろ酔いになったところで飲むのをやめるのがちょうど良いという。ゆっくり飲んだり、おつまみを上手にとったりする工夫も役に立つ。
一方、非アルコール性の脂肪肝は、お酒をまったく飲まない人や少ししか飲まない人もなる。食べ過ぎや肥満などがきっかけで脂肪肝になる。炎症が起こるとNASH(ナッシュ)に進行する。アルコール性と同様に、肝硬変や肝がんへと悪化することもある。このタイプの脂肪肝は国内に約1000万人いると推定され、そのうちの1~2割がNASHだとみられている。血糖値を下げるインスリンの効きが悪い患者も多い。
対策は生活習慣を見直すことだ。具体的には「摂取カロリーを控え、適度の運動をすること。メタボリック症候群の対策と同じだ」と横浜市立大学の中島淳教授は強調する。脂肪分の多い食事を見直したり、甘い物の食べ過ぎをやめたりして栄養バランスに気を配ろう。運動不足にならないよう体を動かす機会をつくることも大切だ。
■歯周病とも関係
さらに、中島教授や大阪大学のグループによる研究で分かってきたのが、歯周病との関係だ。NASH患者102人の歯周病菌を調べたところ、歯周病菌を保有する割合は52%で、健康な人と比べて約3.9倍に達していた。
そこで、歯周病のNASH患者10人に歯石を除去したり抗生物質で歯茎の炎症を抑えたりして治療すると、3カ月後には肝機能の数値がほぼ正常になったという。中島教授は「歯周病を治療すれば、脂肪肝の人が肝炎に進行するのを抑えられる可能性がある」と話す。
正月太りになってしまった人は、一石二鳥で脂肪肝対策に取り組んではどうだろうか。
http://www.henshikou.com/blog/blog_20190402_53